旅の思い出
原瀬 忠広
この写真は1990年の春にニューヨークのリバティ島で撮ったものです。
その当時は日本ではまだ一般的でなかったインプラント治療の世界的な先人達が集うミーティングに参加した時のもので、オフの天気のいい日に幼い娘と自由の女神を見物しに行った際のものです。私の背面には在りし日のツインタワーのワールドトレードセンターが写っております。
当時のニューヨークは活気にあふれ、ウォール街、5番街など世界中の人、物、金、全てが狭い空間に凝縮しているような街という印象でした。
人種の坩堝とはよく言ったもので、娘は初めて触れた異国の文化に圧倒されておりました。
それから10年あまりの年月を経て、この見慣れた写真が一変すると一体だれが予想出来たでしょうか。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロによりこのツインタワーは破壊されニューヨークは地獄と化し、2749名の多くの方々がお亡くなりになりました。
この写真を見るたびに、今でも胸を締め付けられる想いがあります。
奇しくもこの9月11日は娘の誕生日でもあり、私の誕生日に何故って泣きじゃくっていたことが昨日のことのように思い出されます。
いつかこの写真を持って、蘇ったグラウンド・ゼロを訪れようと思っております。