松山中央ライオンズクラブ
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No.448 小説「坊ちゃん」12景 その⑦

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『湯壷は花崗岩を畳み上げて、 十五畳敷位の広さに仕切っている。 大抵は十三、 四人漬かっているがたまには誰も居ない事がある。 深さは立って乳の辺りまであるから、 運動のために、 湯の中を泳ぐのはなかなか愉快だ』 やはり29歳の漱石は若い。 浴場に突然出現した 『湯の中で泳ぐべからず』 との貼り紙は、 明らかに坊ちゃんこと漱石のために貼られたものである。 翌日の学校の教室には例の如く黒板に 『湯の中で泳ぐべからず』 と書いてある。 天麩羅事件から始まって団子事件、 更に温泉での水泳事件と探偵されることの嫌いな漱石は、 ほとほと松山がいやになっている。 実を言うと漱石が松山へ来た理由の一つに探偵行為からの逃避という説がある。 もっとも探偵の存在は漱石の精神的病から来る妄想という説もあり何だかややこしい。 松山で中学生たちに見張られていたのは小説にあるように事実のようであるが…。 ところで道後温泉の湯の中で泳いでしまった漱石が、 いかに道後温泉を気に入っていたかを伺い知ることが出来る友人への手紙を紹介しておく。 『道後温泉は余程立派な建物にて、 八銭出すと三階に上り茶を飲み菓子を食い湯に入れば頭まで石鹸で洗ってくれるという様な始末。 随分結構に御座候』  湯に漬かった漱石の紅潮した顔が目に浮かぶようである。
山本 力雄 



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