先日、 東温市見奈良にある坊ちゃん劇場へ 「ミュージカル
坊ちゃん!」 を見に行った。
小説 「坊ちゃん」 をジェームス三木氏がミュージカル劇に
書き上げ、 わらび座が演じている。
1月末までに228回の舞台をこなし、 54904人の観客が入っ
たという。 大変な動員数である。 46回見た人もいたと支配
人の山川さんが誇らしげに説明をしてくれた。
2年目の出し物は、 「吾が輩は狸である」 というミュージ
カルであるらしい。 漱石もびっくりだろう。
吾輩は猫ならぬ狸なのだから。 四国の民話八百八狸にまつわ
る井上ひさし氏の小説 「腹鼓記」 が頭に浮かぶ。
さて、坊ちゃん12景も8回目となる。 今回は、 漱石が中学
校の宿直当番となったその夜の出来事である。 布団の中に蝗
(イナゴ) が5、 60匹這入っている。 学生の悪戯に違いな
い。 『そりゃ、 イナゴぞな、 もし』 坊ちゃんはこれをバッ
タと表現して悪餓鬼どもに一本取られている。
以前見た 「北の零年」 という邦画の中で蝗の大群が飛来し
空が真っ黒になる場面があった。 雲が湧くような蝗の大群、
それが通過した後は一切の草木の姿が地上から消えるという。
漱石は蚊帳張りの中で蝗の小群に股座 (またぐら) を襲わ
れた。 漱石の股間の草木は無事であったのか。
松山を去った後の熊本時代、 中根鏡子なる女性と結婚して
いる。 しかも子沢山に恵まれた。 心配無用という訳である。
山本 力雄