松山中央ライオンズクラブ
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No.446 小説「坊ちゃん」12景 その⑤

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坊ちゃんこと夏目先生は、 松山市内を散歩していて蕎麦屋を発見する。 東京時代から蕎麦が大好物であった。 蕎麦屋に入り、 天麩羅蕎麦を注文する。 その旨さのあまり4杯も平らげた。 ところが翌日教場へ出ると黒板一杯に 『天麩羅先生』 と書いてある。 次の教場では 『一つ天麩羅四杯也』。 次は 『天麩羅を食うと減らず口が利きたくなるものなり』 とある。 別の日に住田こと道後温泉近くの団子屋で団子を食べると、 『団子二皿七銭』 と書いてある。 次の教場では、 『遊郭の団子旨い旨い』 とある。 さすがの江戸っ子先生も中学生のしつこい悪戯に閉口している。 ところで先日この遊郭の団子屋と称する場所へ行ってみた。 団子屋は今はない。 あっただろうと思われる場所から、 緩やかな坂を望むと一番上に一遍上人の生誕地といわれる宝厳寺の山門が見える。 その山門までの坂の両脇は、 そもそもネオン坂という歓楽街があった。 その歓楽街の歴史を紐解いてみると、 遠い昔は一遍上人巡礼の信者によってつくられた門前町であり、 時を経て明治の始め頃、 遊女をおく置屋街となった。 恐らく明治28年頃のネオン坂 (旧称松ヶ枝町) はたいした繁盛振りではなかったか。 それにしても、 後に歴史に残る文豪となる28歳の漱石が、 温泉地の色里を眺めながら団子を食べている。 なんとも愉快な情景ではないか。
色里を 十歩はなれて 秋の風   子 規  漱石と子規が道後辺りを散策した時の句である。
山本 力雄



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