いつしか秋分を過ぎ、 「赤とんぼ」 がにあう季節になってきた。
9・10月は学校では運動会のシーズンである。
運動会は運動が得意な児童生徒にとって、 一番の見せ場である。
運動能力には個人差があると感じていたが、 その考えを覆され
る場面に出くわした。
それは、 鹿児島の田舎にある小さな保育園を訪れたときである。
この保育園にいる5歳の子どもたちは、 みんな同じように、
8段の跳び箱を跳び、 側転をし、 プールでは見事に泳いでいた
のである。
特訓をしたのであろうかと、 その園の理事長に尋ねたが、こた
えは違っていた。
「できることは面白い。 面白いから練習する。練習すると上手に
なる。 上手になると大好きになる。 そして次の段階に行きたく
なる。この繰り返しと毎日の積み上げでどの子も好きなことに天才
になれる。」 と話された。
ここにいる幼児たちも今日になって、 突然できたわけでなく、
毎日好きなことを自分たちの意志で続けたことによりできるように
なったのであった。
運動神経の90%は6歳までにできあがると言われている。
それまでに、 どれだけ、 子どもたちに運動に対する動機付けがで
きるかが、 我々の役割であると改めて思い、 帰路についた。
二宮 一朗