頼本 浩明
日本国土は自然の宝庫ともいえる春夏秋冬の四季に恵まれ、 移り変わる様々な光景を醸し出し、 生活の一端を潤しております。
私がいけばなに興味を持ったのは、 今から50年前、 父がいけばなを教えていた影響もありますが、 ある日、 友人宅を訪問した際、 部屋に飾られていた一瓶のいけばなに心を惹かれたからです。 私が来訪する事を知り母親が庭に咲いていた花を活けてくれたもので、 当時は今様の華やかさはありませんが、 赤色の花を着けた山茶花と黄色い菊の花がよくハーモニーされ、 その美しさと心和む母親の優しい気持ちに感動したのであります。 茶会での接待用語に一期一会とあります。 常に客をもてなす行き届いた心の必要性を説いたものですが、 このような姿は心に感動と喜びを与えてくれます。 私はこれらを包含して、 いけばなの心と出会い指導者として活躍しております。
いけばなは日本を象徴する伝統文化の一つに数えられ、 室町期から続いた伝統の深さは輝かしいものがあります。 その室町時代 (足利義満・義政が君臨した頃) 乱世の世でもあったが、 有能な武将や政治家、 公家、 僧侶達の社交文化の一環として、 「いけばな」 「茶の湯」 「連歌」 「能楽」 「水墨画」 「狂言」 「庭園」 等々の芸能文化がこの時代に生まれたと言われております。
いけばなは 「花の心と人の心の対話」 であります。 俳人松尾芭蕉の言葉に 「松の事は松に習え、 竹の事は竹に習え」 と言われているように、 自然に対する行為を徹底的に観察し、 内面の美しさを引き出して作品に表現することの教えであります。 これからも切磋琢磨し努力していきたいと思います。