松山中央ライオンズクラブ
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特別寄稿⑧認知行動療法2

松山赤十字病院小児科カウンセラー
えひめ親子・人間関係研究所

臨床発達心理士

  平林 茂代

認知行動療法2

 先日、NHKの番組で“うつ病“が取り上げられ、イギリスなどではうつ病の治療や予防には心理士の仕事が制度化され、認知行動療法に多大な予算が組まれていることが報じられていました。日本では、心理士が国家資格として制度化されていないため認知行動療法や特別な心理療法を受けるためには個人負担が多くなり、まだまだ一般的とはいえないのが現状のようです。

 人は幼い頃、否定的な体験が多いと、重要な出来事が起こったときに否定的な思い込みを導き出し、その後も何が起こるかと否定的な予測を持って過ごします。その後の出来事に対しての反応も否定的な思考パターンが生じるようになり、新しいことを避ける、消極的な行動、そして気持ちも緊張や寂しさ、イライラといった感情を生み出してしまうのです。その思考パターンは循環して強化され、欝や心身症を発症しやすい状態といえます。

 認知行動療法では否定的な思い込みを肯定的なものに変化させ、積極的な行動や安心感を持ち冷静で幸福感がもてるような感情に循環を強化させていこうとするアプローチです。

 一般的なカウンセリングではクライアントが自由に語りながらそれをカウンセラーは傾聴、受容、共感的理解をして、クライアントとの関わりのプロセスに焦点をあてクライアント自身が問題解決をしていくのを援助していくという姿勢なのですが、勿論この姿勢は信頼関係を築いていくために基本的に大切と考えています。

 認知行動療法では、カウンセラーとクライアントが信頼関係を通じて「今、ここの問題」に焦点を当て問題を解決していくためのチームメンバーとしてカウンセラーとクライアントが協同で取り組んでいきます。カウンセラーはクライアントが具体的に思考していきやすいように適度に制約のある質問、「その時何が起きていたのですか?」「この一週間どんな気分になることが多かったですか?」などと聞いていきます。その中でクライアントの抱えている問題、おかれている状況、その経過と現状を全体的にとらえ、うつ病の人に対してはうつ病について伝えたり、その人の今の状態に合わせた説明をし、わかりやすいように教育的コミュニケーションをとっていきます。

クライアントの認知を正したり、修正するのではなく、その人の課題については十分なブレーンストーミング(評価をしないでたくさんの解決案を出す)を重ね認知の“幅を広げ、柔軟性を高める”ことが目的であるといえます。

激しく変化していく日本の社会環境の中で価値観の違いや人生観の違うもの同士が共存し、人間関係をとっていくためには、時に認知の棚卸をしてみることも豊かさにつながることかなと思います。



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