伊藤 幸満
昨年3月11日、東日本大震災が起き、世界中からたくさんの義損金が集まる中、100億円という桁外れの寄付をされた孫正義氏に興味が湧きこの本を手に取ってみました。
「あんぽん」とは帰化前の名字「安本」の音読から日本人の子どもたちがつけたあだ名のようです。朝鮮人部落で育った孫氏は、ひどい差別も受けたようですが、そのことがトラウマになる事なく多大な義損金をしたことは、アメリカ留学が大きく影響していることと思います。
密造酒を作ったり、豚と一緒に生活するような貧しい生活から、金貸しとパチンコ店経営で大成功した才覚のある父親のもとで育ち、彼自身も高校時代、塾の経営をしようと担任の先生をスカウトして失敗したそうです。今日の塾社会の到来を予見してのことなのか、実にエネルギッシュです。
19歳の時に、「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を最低で1000億貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で事業を後継者に引き継ぐ。」という人生50年計画を立て、今もその計画の実現に向けて走り続けている孫正義氏のルーツを知るには面白い本だと思います。