松山中央ライオンズクラブ
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2009年8月

エッセーリレー少年時代(8月号)

「70余年昔の故郷の面影」
薦田  力

 私は大正14年東予の果の宇摩郡上分町に農家の次男として生れ、昭和7年に小学校に6才で入学したが、その頃の宇摩郡には大きい製紙工場はなく、金生川を帯状に挟む人家のほかは、大半は春は雲雀のさえずる麦畑、夏は螢の飛び交う青田、秋は黄金色の穂波にかかしが振れ合う風情豊かな故郷であった。
 我が家には少し離れて山林、山畑もあり、桃、梨、びわ、柿、蜜柑など、子供には食べ放題、赤松林には松茸がたくさんとれるし、竹林では筍もいくらでもとれた。
 山頂から北を眺めると見渡す限りの青田の果てには紺碧の瀬戸内海が層厚く盛り上って見え、無数の白帆が点々と浮んでいた。
 当時の宇摩3町22ヶ村には中小の和紙工場が点在していたが、海への汚染はなく、川之江海沿いの城山から西の海岸線は、西の郡境のあたりまで青松、白砂の絶景であった。
 五月雨の頃には我が家をはじめ多数の家々の軒にはツバメが巣をつくり、田植えの頃には小学校の行事として稲の害虫取りを競争して行われ、青田になった頃には、町の行事として虫おくりのたいまつの火が田園いち面を埋めつくす風物詩もあった。
 西隣り村との境界は見渡す限り数段の棚田と、続く南の用水池の堤は今はすべて味気のないコンクリート壁ばかりだが、昔は池の堤は芝でおおわれ、子供がころげる遊場となり、棚田は緑の段々であり、その畦は早春はつくし取り、秋は真赤な曼珠沙華一色となり、子供はそれを取って束ねて棒を通し、太鼓台のまねをして街をねり歩いていた。
 私は昭和16年国鉄松山機関区へ就職の為、故郷を離れ、以後当時人口12万人の松山市の住人となった。かつての宇摩郡は今は四国中央市、全国に名をなす紙の街として活気に満ちている。しかし美しい自然の破壊や、隣近所の助け合い等、人々の絆も薄れつつ、反面失われたものも少なくないのではないでしょうか。


特別寄稿(12)

えひめ親子・人間関係研究所での取り組み 

小児科での心理臨床の仕事に携わりながら、子どもの心に触れ、そこから家族のありようの大切さやその家族に影響を与える社会の変化のうねりのなかで、「予防」に視点をあて、人間力、コミュニケーション力をつけることに関心を持ち、私のすることはその力をつけていく“場”作りと考えました。それが平成6年「えひめ親子・人間関係研究所」設立につながりました。そこでの活動を紹介させていただき私の最後の原稿とさせていただきたいと思います。

○カウンセリング実践講座(平成9年開講・コミュニティカウンセラー養成)

「人は人と人との関係の中で育つ」は、カウンセラーとクライアントの関係が実証しています。それがグループになることでメンバー同士での育ちあいが起こってくるのです。

私自身、この講座のことを「心の料理教室」と思っています。まず、場と素材をファシリテーターが準備します。それぞれのグループメンバーがその素材をもとに関わりあっていきます。回を重ねるごとに、見事な心のお料理ができ、心の栄養をつけていくことができるのです。そのことは自己理解、自己肯定につながり、価値意識の変化や他者理解が深まります。1年次から4年次まで学ぶことができ、13年間で600名近くの方が参加され、現在たくさんの方がコミュニティカウンセラーとして医療・福祉・子育て支援・学校などさまざまな機関で援助の仕事やボランティアで活躍しています。

     ワークショップ、講演、子育て講座、職場の研修

PTAや保育園、幼稚園などの親の会などからの依頼に応じて開催います。

○「親業」(親教育プログラム):子どもと親の間に心の架け橋を強化し、子どもの心を聴く、親の気持ちや価値観を話す、対立が起きたときの解決方法など具体的な日常生活から体験を通して学ぶ講座です。

○「女性のための人間関係講座」:自分を大切にすることと他の人も大切にすることとのバランスをとりながら自己表現することを体験的に学び自己実現をめざす講座です。

○「教師学講座」:教師と生徒との間に信頼関係を構築して質の高い教授と学習が成り立つためのコミュニケーションを主体にした体験学習型の講座です。

     メンタルヘルス講座

 講演、ワークショップなどメンタルヘルスの研修依頼が増えています。認知やコミュニケーションパターンに気づき、自分の存在意味を見失わないで自分を活かしていけることがメンタルヘルスのテーマだと考えています。ニーズに合ったプログラムを充実させていくためにこれからも研究を深めたいと思っています。

 取り留めのない文章でしたが、私自身、筆を進めながら、自分を振り返ることができよい時間をいただきました。1年間書かせていただいてありがとうございました。

松山赤十字病院小児科カウンセラー
えひめ親子・人間関係研究所

臨床発達心理士

  平林 茂代


特別寄稿(11)

愛媛いのちの電話~

 

1984年9月14日、私は中央ライオンズから寄贈いただいた電話の前で愛媛いのちの電話の開局の時間を相談員数人と待っていました。13時、リーンリーンと呼び鈴がなり、身体に緊張が走り、相談員がお互いに譲り合う瞬間もあったのですが、勇気を出して私は受話器をとりました。女性の苦しそうな、聞き取りにくい声が受話器の向こう聞えてきました。一瞬のうちに身体の緊張感は意識からなくなり、受話器の向こうの声に引き込まれていきました。電話の奥には、今まで自分が生きてきた人生にはない厳しい生き方があることを知らされ、電話を通してしか援助を求めることができない人がいることを思い知らされ、ボランティアとしての活動を継続してきました。

 「いのちの電話」は、孤独な中にあって、時には精神的危機に直面し、自殺を始め助けと励ましを求めている一人ひとりと隣人になりたいという願いから生まれた運動であり、電話という手段で対話することを主目的とします。この運動の源流はイギリスの「ザ・サマリタンズ」(1953~)で始まり、2004年には1000を超える世界中の都市に拡大されていきました。1971年に「東京いのちの電話」が発足し、現在では49センター7分室が全国で活動を続けています。 

 2004年4月に社会福祉法人として認可を受け「愛媛いのちの電話」が設立され、組織も充実し、基盤のある活動ができるようになりました。

電話相談受診時間は月初めの10日間はPM12時~翌日AM6時の18時間、他の日はAM10時~PM10時の12時間の活動となっています。2008年の総相談件数は7746件で月平均は645件でした。

相談に当たるのは相談員養成講座を1年半受講し、認定を受けたボランティア相談員が行います。現在100名程度で受信していますが、いのちの電話が目指すのは「24時間眠らぬダイヤル」であり、まだまだ相談員が足りないのが現状です。

近年、自殺者の数は交通事故の死亡者を大きく上回り、大きな社会問題になっています。

厚生労働省もさまざまな対策に乗り出し、2001年から自殺防止対策に関する協力事業として始まった「24時間フリーダイヤル」が年1回から「毎月1回10日」と設定され、全国の「いのちの電話」が一斉に受信しています。愛媛にも全国各地から電話が引っ切り無しにかかってきており、毎月平均24時間で5~60件にもなっています。

 私は今、理事と研修企画委員長として活動させていただいていますが、この活動は私の人生の研修の場と位置づけています。自分では生きられない人生との出会いは多くの経験と豊かな心をもらっています。これはこの活動に参加する者の共通の思いともいえます。

中央ライオンズ様には開局のときから大変お世話になっています。今後とも後援会を通して支えていただければ大変有り難く思います。     

松山赤十字病院小児科カウンセラー
えひめ親子・人間関係研究所

臨床発達心理士

  平林 茂代

 

 

 


特別寄稿(10)

成育医療センターと育児支援

 私は松山赤十字病院に入って常勤、非常勤含めて24年目を迎えています。カウンセリングという仕事をしている人が少ない頃でした。勤務を始めて5年くらい経た頃に現在の小谷部長が赴任してこられてから、当病院の小児科にはカウンセリングがあるということが広く知られるようになりました。小谷部長はカウンセリングについてとても関心が高く、重要視していただいたのです。育児不安や心の問題を抱えて、カウンセリングを受けに来院される新しい患者さんは多い年で500件にものぼり、現在でも300件は下りません。

そんな中で、その子どものあらわす現象のみを治そうと無理な対応をして重症化しているケースもあり、「予防」の取り組みの大切さを痛感し、まず、「子ども心身医療懇話会」を開催して学校や地域の子どもに接する専門家との交流が始まりました。

 小谷部長は医療の専門家として、新しい取り組みを積極的に実行していかれるバイタリティのある人、と言うのが私の持っている印象です。事実でもあります。それは新しい医療の取り組みとして2004年7月に小児科と産科を統合して、「成育医療センター」を立ち上げられたのです。

 成育医療とは「胎児期から成人まで一貫して子どもとその家族を医療、保健、心理の面から支援を行う」ことです。高度の医療を提供することはもちろんですが、その上に、母親父親支援、育児支援、虐待予防、家庭機能形成支援、不登校支援、育児支援、軽度発達障害支援など、今までの医療の範囲を超えて成育の保障をするということです。言い換えれば妊娠中から何でも相談でき、対応してくれる場ができることにより、社会から護られている「安心」を提供することですという理念の下に展開しています。

 具体的には、1、カルテ統一化(胎児期にベビーカルテを作る)2、子ども家族支援チーム医療(医師、助産師、看護師、心理士、ボランティアなど)3、LDRなど家族関係を重視したお産システム 4、NICUの新設、5、24時間電話相談(ハローママカード、ハローベビーカード)6、小児救急への積極的取り組み、7、専門的で高いレベルの小児医療の提供、8、ボランティアによる支援システム9、地域に開かれたネットワークの充実(急患医療センター、保健所、児童相談所、周産期センター、学校、幼稚園、保育園、地域子育て支援センターなど)などの項目が挙げられます。

小谷部長は松山赤十字病院における成育医療センターは「病院完結型」ではなく「地域完結型」を目指した医療機関として、予防や治療に取り組んでいきたいと述べられています。さらに、成育医療センターの建設に向かって行動が始まっています。私も応援者であり、協力者です。地域の皆さんの応援が鍵でもあり、応援とご協力を是非お願いいたします。

         参考 小児心身症研究(日本小児心身医学会中国四国地方会誌)  15号論文 小谷信行

松山赤十字病院小児科カウンセラー
えひめ親子・人間関係研究所

臨床発達心理士

  平林 茂代


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