松山中央ライオンズクラブ
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2007年7月

NO.452 小説「坊ちゃん」12景 その⑪

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このシリーズは、 「坊っちゃん」 十二景と
したため 小説の中の二つの重要な場面が
省略されてしまった。
一つはうらなり君送別の宴会の場面。
もう一つは日清戦争戦勝祝いの日の学生たち
の乱闘場面である。
この二つの場面は残念ながら回数の関係で
掲載出来ない。
さて、今回は温泉町ゆのまちの角屋という
旅館から出てきた赤シャツ、 野だいこを
坊っちゃんと山嵐が打擲する場面である。
なぜこの二人が殴られるのかといえば、
物語の中に大きな伏線がある。
赤シャツが、 古賀先生ことうらなり君の
許嫁いいなづけであるマドンナに横恋慕し、
自分のものにするため邪魔なうらなり君
を宮崎県の延岡へ転勤させたことである。
いつの世にも、 卑劣な人間は黴のように
密かに暗闇の中で繁殖し、 思わぬところへ
侵入している。
小説の中の赤シャツの言動は、 常に沈着
冷静を装いながらそこに嘘が潜んでいて、
自己の目的に導く計画的罠が仕掛けられ
ている。
坊っちゃんと山嵐はそのことに気づいていて、
この種の人間を懲らしめるには鉄挙制裁
しかないと判断していたのである。
角屋の向かいにある枡屋の二階で障子の穴
を覗き続ける。
八日目の夕刻、 赤シャツと野だいこの姿が
現れる。
その前に馴染の芸者二人が先に角屋へ入って
いる。
翌日の朝五時、 赤シャツと野だいこの朝帰り
の途中を襲い、 存分に制裁を加えるのである。
この小説の愉快さはこの場面にある。
読者は溜飲を下ろし、 蓄積した日々のストレ
スを発散するのである。
 
               山本 力雄


NO.453 小説「坊っちゃん」12景その⑫

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今回が最終回である。
漱石はこの小説 「坊っちゃん」 を明治39年、
39歳の時に俳誌 「ホトトギス」 に発表した。
編集長である高浜虚子の薦めによることは既に
書いたとおりである。
この作品を発表する前年には、「我輩は猫である」
をはじめ幾つかの短編を発表し好評を博している。
漱石は明治28年4月に愛媛県尋常中学校 (松山
中学) の教諭に就任、 翌年29年4月まで在職した。
したがって漱石の実際の松山での生活は1年で
あったが、小説の中の坊っちゃんは、 7月に東京
物理学校を卒業後、9月には 「四国辺りのある
中学校」 に赴任し、 わずか1、 2ヶ月で辞めた
ことになっている。
あまりにも沢山の事件が勃発するものだから、
もっと長く滞在していたように感ずるのだが、
よく読んでみるとまったく短い期間の設定になって
いるのに気づく。
さて赤シャツと野だいこに鉄拳制裁を加え、
勧善懲悪を実行した 「坊っちゃん」 は、
その結果として学校を去ることとなる。
二人は奸物どもに制裁を加えた翌日の夕方
6時の船で四国を後にする。
「その夜おれと山嵐は、 この不浄の地を離れた。
船が岸を去れば去る程いい心持がした。
神戸から東京までは直行で、 新橋へ着いた時は
漸く娑婆へ出た様な気がした。」
 四国辺のある町すなわち松山は、 不浄の地で
あり、 東京は娑婆であるという。
何だか複雑な気持ちだが、 地の果てにあって
猿と人とが半々に住んでいると書かれた延岡より
はまだましか。 それにしても江戸っ子漱石は口の
減らない男ではある。 (完) 
               山本 力雄


童謡シリーズ① 「七夕」

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今年度の表紙のテーマとして 「童謡」 を
取り上げることにした。
昔から歌い継がれている 「童謡」 が廃れ
てきているように感じたからである。
厚生労働省研究班の筑波大学安梅勅江教授
が実施した調査によると幼児期に親と一緒
に好きな童謡などを歌う機会が少ないと、
小学生になってから 「あまり頑張れない」
と感じる割合が増える傾向があることが分
かったそうだ。 「一緒に歌うことは、
親子の楽しいかかわりの象徴。 こうした
触れ合いが、 子供の発達に良い影響を与え
ることがあらためて示された」 と話されて
いる。
同研究班は継続的に調査しており、 幼児期
の成育環境がその後の心身の健康にどんな
影響を与えるのかを調査した結果、 幼児期
に保護者が 「家庭で子供と遊ぶ機会がめっ
たにない」 としていた児童が 「あまり頑張
れない」 と答える割合は、 月に1回でも遊
ぶ機会があった子の3倍以上あり、 別の分析
方法で 「頑張れない」 こととの関連が強い
答えを調べると、「一緒に歌を歌う機会がほ
とんどない」 であることが分かったそうだ。
 たかが 「童謡」 と思われがちだが、
一曲一曲のよさを再度見直していきたいもの
である。

               二宮 一朗


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